「カメラを止めるな」は高校野球である

カメラを止めるなを見て、だいぶ月日が経った。

もうフィーバーもひと段落しただろうから書こうと思う。

正直言って、日本映画史に残る作品だと思わない。みんなが評価するほど良いとも思わない。

ただ、何が特別なのかは分かった。そして、それはみんなが見る価値のある特別さだった。それについて書こうと思う。

ちなみにネタバレになることは書かないので、未見の方も安心して読んで欲しい。

一丸となった姿に感動してしまう

本作は低予算映画である。その結果、粗(あら)は見える。個人的には前半部分の音楽のチープさはちょっと耐えられなかった。素人の映画祭かな、と思うレベルである。

ただ、その先にあったのは「このどうしようもない穴だらけの映画をなんとか成立させる」というスタッフ、キャストが一丸となった姿だった。初めてアキラ100%を見たときのハラハラ感というか。

写っているキャストが頑張っているのが分かる。それは当たり前だ。だが、この映画はなぜか、これスタッフも必死だぞ、というのが分かる。映像に写ってないのに。

その姿は、まさに高校野球である。

プロ野球の選手にとって今日試合が終わっても、明日も試合があることは当たり前である。そうなると、1点取られても必死ではない。長いシーズンの中の1点だ。

だが、高校野球の彼らにとって「今が全て」である。3年生は引退し、負ければ明日は家に帰る。人生が変わる瞬間がいま目の前で起きているのだ。

この映画の監督もキャストもみんな次があるか分からないメンバーばかりだ。その人たちが必死になって作品を成立させようとする。途中からもう撮り直しができないことがなんとなく分かる。

がんばれ、がんばれと思う。そして、ハッピーエンド。そりゃあ泣くよ。感動するよ。あぁ、いい映画だったとなる。

でも、じゃあ、日本映画史という土俵で語られるものなのか、というと、それはカテゴリーが違うのかな、と思う。これはインディーズ映画の最高峰だと思う。

それでいてジャイアントキリングも果たしてる。いま興行収入23億円と言われているけど、「男はつらいよ」の興行収入がだいたい10~15億だったことを思うと、とんでもない数字だ。

食べログによって、駅前などの立地に関係なく美味しい店が生き残り、飲食店の淘汰が進んだように、SNSによって本当に面白い映画が伝わるようになった。

これはSNSの発展による喜ばしい進歩だと思う。宣伝の量ではなく、純粋に面白い映画がヒットするサイクルが生まれつつあるのだ。そういう意味でも素晴らしい映画である。

ということで、「カメラを止めるな」をまだ見てない人はぜひぜひ見てください。

あれは映画館でみんなで笑いながら見る映画です。

ちなみに上田監督のカメラを止めるな以前の作品としてyoutubeに「テイク8」が公開されている。

個人的にはこちらの方が好き。カメラを止めるなを見た人はぜひ見てください(構造が似ているので、カメ止め前は止めた方がいいかと)

 

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78年生まれ。東京在住。タモリと日本語のヒップホップと落語が大好き。俳優では緒川たまきとムロツヨシ、サッカーはFC東京が好きです。最近は息子とファミコンをやるのがマイブーム。