スポンサーリンク

ちょっと泣きたい夜に「世界から猫が消えたなら」川村元気

泣かせるストーリーの法則というのがある。

その鉄板中の鉄板が「過去の肉親、恋人からの手紙」である。

特にその人が亡くなっていると、その言葉は重い。

例えば、カップルが喧嘩をして別れる。イライラした男は彼女からの電話に出ない。留守電も聞かない。でも、ある日友達から電話が来る。「あの子昨日の夜に交通事故で亡くなったよ」という話だった。驚いて留守電を聞くと「喧嘩をしてごめんなさい。本当に大好きだよ。あなたしかいないんだ。ごめんね。謝りにいくね」というメッセージが残っていた。

彼女はこの電話の後に亡くなっていた。僕に謝るために暗い夜に家を飛び出したんだーー。

これが過去からのメッセージである。

「世界から猫が消えたなら」という本をどう読むのか、というとやっぱり上手いだと思う。

小説的な重みは無い。描写は少なく、会話文もどこかで聞いたようなセリフばかりだ。   ただ、緻密に計算されたストーリーに涙してしまう。

そして、圧倒的に読みやすい。

余命わずかな男の決断とは?

物語は余命わずかな男が悪魔から、お前が死ぬ代わりに1日一つ、世界から何かを消す、言われるところから始まる。

電話、時計、毎日一つずつ消えていくものたち。

それによって、失うものもあるが、思い出すこともある。携帯電話がなかった頃の待ち合わせで待つ時間が相手を想う時間だったこと。

そして、いよいよ猫が消される日。彼はどのような決断を下したのか。

この本は泣きたい時におすすめの一冊である。

確実にあなたの心のしまっておいた何かをノックして、そして扉を開けるだろう。

だから、やっぱりこの人の作るストーリーは上手んだな、と思う。