令和で最初にハマったドラマは「憑依~殺人鬼を追え」だった。
たまたま韓国映画の凄さに圧倒されていた時期だったので、その流れで「適当にネトフリの韓国ドラマでも見るか」と思って見始めたのが「幽霊が見える警察官が殺人鬼を追いかける」という謎設定のドラマだった。
予告編を見ると、おばけが急に見えるようになってビビる警察官が出るコメディかと思ったら全然違った。
このドラマの魅力はかなり重層的だ。極上の恋愛ストーリーであり、犯人を追いかけるサスペンスであり、要所要所のコメディ要素も絶妙であり、その配分の妙があるからこそ、作品として成功している。
まだ見ている人が少ないと思うので、ネタバレしない範囲でこの作品の凄さを紹介していきたいと思う。
1、設定が斬新
このドラマの冒頭は、かなりひどいシーンから始まる。連続殺人の犯人と刑事が対峙して、おとり捜査の女性が殺されてしまう。そして、殺人鬼は刑事に殺されてしまう。いきなり見るのを止めたくなる残虐なシーンだ。
ただ、これは物語全体を貫く、非常に重要な場面だから、我慢して見て欲しい。
この殺人鬼に憧れた男が、降霊術で殺人鬼を自らの体に入れて、人殺しを始める。
主人公の刑事は、犯人を特定するが、この殺人鬼は死ぬと、別の体に乗り移って、また殺人を始めるのである。
通常は「犯人を追いかける→捕まえる→めでたしめでたし」だが、この作品は「犯人を追いかける→捕まえる→別の体に憑依→また追いかける」となるのだ。ここだけ聞くと、B級ドラマかな、となってしまうが、この設定、なかなかの発明だと思う。
殺人鬼のやばさは、知っている。一方で、次に誰に憑依したのか分からないのである。主人公は「誰に憑依したんだ!」と言いながら、探し回る。終わらないループ。この恐怖感はなかなかだ。
2、恋愛ドラマとして一級品
殺人鬼に追いかけられる、という恐怖のシステムはあるが、メインとなるのは、恋愛ストーリーである。主人公役のカン・ピルソン(ソン・セビョクコ)は、イケメンでもなく、服装にも気を遣わず、食事はコンビニのイートインで食べる無骨な男だ。
一方のヒロイン役のソジョン(コ・ジュニ)は、ネットショップで洋服を売っている、おしゃれな女の子である。
この釣り合わない二人が、お互いに惹かれ合っていく様子に、胸がきゅんきゅんしてしまう。うちに寄ってく?が言い出せない女の子。二人でサイクリングして、お尻が痛い!と言ったら夜中にサドルにカバーを付ける不器用な男のやさしさ。
次第にストーリーが進むと、この二人の笑顔は消え、心の中は恐怖で埋め尽くされてしまう。
8話ぐらいまでのラブストーリーとしての極上の流れがあるからこそ、後半の哀しい展開もなんとか乗り越えることができたと思う。
3、喜怒哀楽の波を超えていけ
この作品は明と暗が激しい作品だと思う。明るく楽しい前半と、恐怖のどん底の後半。
見るのを止めたくなるほどの悲しみや恐怖の中で、最後まで好きな人を守ろうとする主人公。
なんでここまでやるんだろう、と思う。でも、これが韓国ドラマなのだ。ハッピーエンドやステキな展開だけがドラマではない。やめろ!いい加減にしろ!と言われても、きついシーンを描き、その中で一縷の望みとなる二人の愛を描く。まさに韓国作品の真骨頂だろう。
これは向こうのテレビでやっていたのをネトフリに上げたものらしい。これが韓国のドラマのクオリティか、本当にすごいな。
1話1時間で、16話ということで、合計16時間どっぷりと浸かってしまった。
ネットフリックスに外れなし、ということで気になった方は見てみてはいかがだろうか。
公式サイトは以下から。
https://www.netflix.com/jp/title/81087764
予告編はこちら