今夜も韓国映画を見てしまった。。。なぜこんなものを見たのか、強烈過ぎて映像が頭を離れない。
「ああ、ひどいの見た」と言いながら、気づけば次の作品を探している。
この韓国映画の凄さは一体どれだけの人に認知されているのだろう。
何がすごいのか。
1つ例を挙げれば、日本だと血だらけの包丁を持って部屋から出てくれば、なんとなく殺してきたことが分かる、でも、韓国映画はそういう曖昧さが無い。殺したの?どうやって殺したの?そこをはっきり見せる。バラバラ殺人ならバラバラにするところを見せる。
ひどい、と思いながら、一方でクセになって何本も見てしまう。これって何か似ていると思ったら激辛料理だった。あるいは二郎と言ってもいいかもしれない。
食べ終えたときは「なぜあんなものを食べたんだろう」と後悔しながら、またお店に向かう。
そんな激辛好きな僕だからハマったのか、とにかく韓国映画がすごい。日本だと一発アウトな作品がじゃんじゃん作られているのだ。
見ている途中で何度も「これはダメだ、なんで見たんだ」と思うけど、その刺激がクセになる。気づけばもっとやばいのはないのかと貪るようになってしまった。
映画界の激辛好き、刺激を求めている人ならぜひ見て欲しいスパイシーな韓国映画の数々について、最近見た6作品をまとめてみた。
おすすめはしていない。見たものをまとめた記事である。その点をお忘れなく。
その前に何がすごいのかを書いておこうと思う。
1、暴力表現のリミッターがない
「私はいまお腹に赤ちゃんがいるの、だから許して」
日本だとそこで犯人は躊躇する。でも、韓国映画は関係ない。ザクザクいく。
始まって5分で人が死んだりする。度を超していると思うけど、その強烈な始まりのせいで、なぜか見てしまう。
2、モラルなんて言葉は無い
見終わった時に「いや、それはやっちゃダメだろ」ということが多々ある。胸糞悪くなったりする。でも、ハラハラドキドキ、見事に解決みたいなハリウッド映画にはない、ドロリとした感情がそのままこっちに流れこんでくる感じは、他にはない刺激だ。見終わって1週間たったら忘れているような映画ではなく、ずっと残る。消化不良の連続。だが、それこそがクセになる要因だと思う。
3、だからこそ見たことない景色、感情が描ける
日本やハリウッドではありえない表現を描いているからこそ、「なんかひどいシーンだけどやけにキレイ」という場面に出合うことがある。例えば、斧で人を殺した後に敷いてあったビニールシートをみんなで持って、真ん中のバケツに血を集めるシーンがある。その真っ赤な血が流れる様はまるでキューブリック作品のような圧倒的な映像美なのだ。
暴力をふるった後に優しくするDV夫のように、時折見せる、見たことない映像美と俳優の淡々としたかっこいい演技は、韓国映画でしか見れない魅力と言えるだろう。
ブッダブランドのデブラージは「くさいものはクセになる」と言ったが、どっぷりハマると抜けない、地方の発酵食品のように、ヤバイ味の奥にある旨味に出合ってみてはいかがだろうか(モノ好きなら)。
おすすめしないけど、やばい韓国映画6選
1、『哭声/コクソン』
ある村で殺人事件が起こった。村に引っ越してきた日本人が悪いのか、幻覚を見せるキノコが悪いのか。謎が深まる中で次々と殺人事件は続いていく。
という不思議な映画なんだけど、これが韓国映画を見る入り口だった。飲み会にいた2人が口をそろえて「コクソン!」と言ったけど、なぜ二人はこんな消化しづらい作品をすすめたのか??醤油瓶を割ったら出てくるカラスの死体。体をきれいにしろと言いながら煙草を吸う祈祷師は、日本人と同じふんどしをしている。誰が味方でだれが敵か。謎は深まるばかりだ。「チェイサー」、「悲しき獣」のナ・ホンジン監督がなぜここまで飛躍した作品を撮れたのか。不思議で仕方ない。ラストシーンについて監督は「色々な解釈ができるようにしている」というが、それにしても強烈な映画である。
2、悲しき獣
殺人を依頼された若者がいつの間にか追われる立場に、激しい追いかけっこが始まった。チェイサーのナ・ホンジン監督の作品。
これまで見た中で一番スリリングであり、作品としての完成度が高い名作。ピストルを使わず、斧で殺し合う喧嘩や、何かの骨で殴り殺すシーンなど、韓国独特の殺し合いがやたらと面白い。ああ、面白い、これはオススメできるじゃんと思ったけど、よく考えたら十分グロいところもある。まぁでも見やすい方だと思う。ライムススターの宇多さんが「2012年のベスト」と言ったらしいけど、納得。
3、悪魔を見た
嫁を殺された警察官が復讐する話。でも、1回で終わらない。半殺しにして、また放して、半殺しにする。その行き着く先は――。
製作委員会方式では絶対生まれない。企画書出したら全員が止めると思う作品。モラルもタブーもない。作品全体の半分は血が流れてる。人に勧める気もない。とにかく犯人役のチェ・ミンシクがやばい。完全にいかれてる。今後オファーが来なくなるかもしれない、とかそういう役者としての未来なんて全く考えてない、ここで役者人生が終わってもいいという覚悟だと思う。これが一番やばい。
4、チェイサー
売春婦を次々に殺す殺人鬼と、元警察官でいまは売春婦の元締め、という男の追いかけっこ。
映画でやる表現は「ここからここまで」という勝手に作ったフレームがぶっこわれる。救いなんてあるのか、何が描きたかったんだ、となる。これを見ると韓国人は、たまたま見た目は日本人と似ているけど、違う人種なんだなとつくづく思う。監督はナ・ホンジン。この人はすごい。
5、オールドボーイ
15年間監禁された男が、ある日解放された。なぜ自分は監禁されたのか、その理由を求めて男は動き出した。
これまたひどい映画。でも、映像美がある。ダークなんだけど、美しい。途中までけっこう好き。最後の展開で見てられなくなったけど、それでも見続けたら、なんだか救いがあったような、ないようなラストだった。とにかく娘がいる父親は見ちゃいけない映画。家族で見たらトラウマになる。
6、親切なクムジャさん
幼児誘拐、殺人の罪で13年刑務所にいたクムジャさん(女性)。彼女は実は子どもの命を守るために罪を被ったのだった。刑務所を出た彼女は真犯人への復讐を開始したのだった――。
こちらは刑務所生活がコミカルな感じで、他の作品よりはポップな気がする。とはいえ、いざ真犯人を発見した後の復讐の仕方はもう普通じゃない。さすが韓国映画というエグさ。見やすい方ではあるが、果たしてオススメと言っていいのか、いや、やっぱダメだろと思う。
ということで、6本ほど紹介してみた。オススメの順番は
1、哭声
2、哀しき獣
3、親切なクムジャさん
4、チェイサー
5、オールドボーイ
6、悪魔を見た
ちなみにアマゾンプライムビデオで見れるのが、
哭声、クムジャさん、チェイサー、オールドボーイ、悪魔を見た
哀しき獣はネトフリで見れたけど、アマゾンでレンタルもできる。
ナ・ホンジン作品で攻めるなら、チェイサー、哀しき獣、哭声の順番で見ると、この監督の才能がとてつもないのが分かると思う。1作ごとの飛躍の仕方が見たことないぐらいけた違いにすごい。
ああ、やだやだ、なんて言いながら今宵も僕は韓国映画を見るのである。スマートを目指した裏で日本が無くしてしまったドロドロしたパワーが韓国映画にはあるんだよなぁ。
いやぁ〜すっかり虜だわ。