母の愛に涙する「湯を沸かすほど熱い愛」
見終わったら上着の前が涙でぐっしょり濡れていた。
なぜ宮沢りえ、という女性はここまで人を惹きつけるのか。
その恋愛遍歴を見ると、決して上手く生きていくタイプではない。
でも、その見た目とは裏腹に、ひどく地味で愚直な性格がこの役柄を産んだのだろう。
ストーリーは、銭湯を経営する一家の話だ。
父親が蒸発し、みんなに心配されながら過ごしているが、ある日娘がいじめられていることを知る。
また、同時に自らが末期がんであることを知る。
自分がいなくなってしまう現実を前に、娘に何ができるのか、何を残せるのか。
「はいはい、余命短いパターンね」と思ったら、そんなことどうでも良いぐらい名作だった。
蒸発した父親のオダギリジョーはかっこいいし、探偵役の鶴瓶の息子の駿河太郎は良い味出しているし、娘の杉咲花咲は、本当に最高の演技だと思う。
そして、奇跡のラストシーン。心温まるなんてものじゃない。
この映画の記憶だけで、ずっと幸せに生きているような、そんな素敵な映画だ。
ちなみにこの銭湯は、足利にあり、珍しく見に行ってしまった。
殴り殴られる奇妙な映画「ディストラクション・ベイビーズ」
殴る、ひたすら殴る。理由はない。殴る。
「暴力が服を着たような人間がいたら」
それが「ディストラクション・ベイビーズ」という奇妙な映画のテーマである。
配役はなかなか凄い。主人公のひたすら殴り、殴られる男に柳楽優弥、彼と一緒に行動する若者は菅田将暉、彼らに攫われてしまう女性は小松菜奈、柳楽優弥の弟に村上虹郎、さらには街のチンピラ役として池松壮亮までいる。
これだけのメンツが揃っていれば、さぞかし優れたストーリーを構築できるはずだが、この映画にはストーリーらしきものはあまりない。
若者(柳楽優弥)が島を出て、街にいく。ターゲットを見つけ、ひたすら殴る。それはバンドマンだったり、街のヤクザだったり、当然やり返されるが、痛みなど感じないのか、日を改めて殴りにいく。
それをひたすら見る映画だ。見終わった後は「なんだこれ?」となるが、不思議とずっと残る。
特に話題になった、という話は聞かないが、映画好きなら見ておきたい1本だ。
松田龍平の松たか子のカルテットコンビに痺れる「ジヌよさらば」
阿部サダヲと、松たか子がコンビニを経営する夫婦で、松田龍平はふらりとやってきた若者、松田龍平に美人局をするのが二階堂ふみ。お金アレルギーの若者が、田舎にやってきて溶け込んでいくストーリー。
ストーリーや設定が凄い、というより役者が凄い。
特に松田龍平と松たか子の会話は、「あ〜カルテットだ!」となる。
テンポもよく、会話のキャッチボールも良いし、役者も魅力的。
普通に良作だと思うけど、そこまで話題にならなかったのは、なぜだろう。
いわゆる大作じゃないけど、こういう作品をしっかり評価する人がいないのが悲しいなと思う。
以上、3本が最近アマゾンプライムビデオで見て、あ〜面白かった!となった作品だ。
特に「湯を沸かすほど熱い愛」は、イチオシ。泣きたい日に見て欲しい。