小沢健二のフジロック2017のレビュー!

どうも、きなこなんです。punpeeに続いて、小沢健二のレビューも書きたいと思います。

2017年のフジロックの話題のひとつが、小山田圭吾(コーネリアス)とオザケンがステージが違うとはいえ、同じフェスに参加するという事実だった。

かつてフリッパーズギタ―でコンビを組んでいた彼らだが、ピークの時に解散。それぞれソロとしての道を歩いていた。

発表されたタイムテーブルでは、コーネリアスが終わるのが20時。オザケンが始まるのが20時10分。この10分に小山田が移動すれば、フリッパーズギタ―復活!?なんて思ったりした。

フジロックは今日も雨だった

この日は朝8時に東京を出て、12時50分に会場に到着。

嫁と5歳と2歳の子どもを連れての参加だった。

参考までに自分のことを書くと、僕は1978年生まれの38歳。1994年の「今夜はブギーバック」は16歳の時。1998年にオザケンはいったん活動を休止するので、この1994~1998年あたりが彼の活動のピークだろう。つまり、いまの35~45ぐらいがオザケン、渋谷系の世代だと思う。

つまり、あのキラキラした存在が王子様として輝いていた頃を知っている世代だ。

フジロックの目的は、PUNPEEとオザケン。2日目だけの参加だった。

13時にホワイトステージでPUNPEEを見て盛り上がり、嫁とはぐれて食べ物買ってきたら、子どもが行方不明に。迷子センターで保護したけど、嫁はボロ泣き。降りやまない雨。グリーンステージではCoccoが狂気を織り交ぜた素晴らしいパフォーマンスを見せていた。

僕が5歳の息子とTHE AVALANCHESを見て戻ってくると、嫁が「帰りたい」と言いだした。 まだ17時ぐらいである。しかし、心身ともにボロボロな感じ。帰るべきか、一瞬迷ったが、「ここでオザケンを見ないと、末代まで後悔するぞ!」と謎のキレ方をして、ちょっと温かいものを食べて、心をホットにしてもらう。

オザケンのために捨てるコーネリアス

二兎追うものは一兎をも得ず、いやいや全部見たい。

その葛藤はあったが、昼間のPUNPEEの盛り上がりを見ると、オザケンの時にホワイトステージに入場規制が入るのは目に見えていた。

捨てる。コーネリアス。目指すホワイトステージ。1時間半前に。

ということで、出発直前に購入したイスに座って待機。ベビーカーとイスで前目に席を確保。

しかし、30分ぐらい前からびっくりするぐらい会場が混んでくる。ステージの上のビジョンに「入場規制」の文字が出る。やはり、コーネリアスをのんびり見てたらアウトだったのだ。

次第に人が増え、イスに座るのは困難になり、立ち上がった。もう本当にぎっしりだ。

そして、時間が来た。暗闇のステージに人が入ってくる。一人、二人、三人、四人、え、多くない?たぶん15人ぐらいがステージにあがったと思う。

そして、最初の音が鳴った。

豪華メンバーの登場でベビーカーが壊れそう!!

「ダンスフロア~に鮮やかなひっかり~」

おい!ウソだろ。いきなり「今夜はブギーバック」だ! 明るくなったステージにはスチャダラパーがいる。「フッジっていったら、ロックロック、ロックロック」という難易度の高いコール&レスポンスをオザケンが要求。

それに応えるように観客が前に詰め掛ける。赤ちゃんの乗ったベビーカーに人が殺到する。大慌てでガードすると、周りの人も気を使ってガードしてくれた。急いで赤ちゃんを抱き上げる。危機一髪だ。

スチャダラパーのラップが心地よい。もはやカラオケのように全員で歌う。

その合間にすっかり喉の筋力が落ちたオザケンの声が聞こえる。細いなぁ、、、。それでも、本物、オリジナルの声である。すごい。

そして、次の曲が「僕らが旅に出る理由」

「心変わりはだれっかのせい~」。もうみんなで合唱!楽しくってしょうがない。

でも、ふと「あれ、周りの人のカラオケを聞きに来たのかな?」という気分になる。みんなもそう思ったのか、次第に観客の歌声が小さくなり、本物の細い声が聞こえてくる。

新曲を静かに聞き、名曲で盛り上がる

続いての曲は「飛行する君と僕のために」。

復帰後に発表された曲だ。ほとんどの人は知らず、静かに歌声に耳をすませ、スクリーンに映る歌詞を目で追う。「科学の文学」とか、出てくるワードが全部オザケンワールド。

ややクールダウンした会場。でも、キャンプファイヤーでいえば、けっこう火が上まで来てたので、ちょうど良かった感じ。みんなで火をみながら座って語らうように、のんびりとバラードを聞くと、次の曲がスクリーンに映し出される。

「ラブリー」

おぉ~!!!盛り上がる会場。「それでLIFE COME’N BACK僕らをま~つ~!」歌ってて楽しい!!あ、いかん、いかん。歌声を聞かないと。

少しずつ、観客の声が小さくなり、本物の声が聞こえる。細いけど、オザケンが生でラブリー歌ってる。楽しいなぁ。

次の曲は「シナモン(都市と家庭)」。また新曲。歌う人はおらず、静かに聞く。

そして、「東京恋愛専科」「さよならなんて云えないよ」「強い気持ち・強い愛」と名曲が続く。

「い~まのこ~の気持ちほん~とだよね~え~」って歌詞に、心が震える。そうそう、この観客の一体感。ウソじゃない、夢じゃない。本当だ。

途中でメンバー紹介。スカパラ、ボーカルで一十三十一の名前に観客が驚く。どんなメンバーだよ。

「愛してるぜ、ロック好きな人。マジで」

と語るオザケンのMCに、また心が震える。同じ時間を共有している。その一言でみんなも心の中で「こっちも愛してるぞ」と思う。

そして、最後の曲「フクロウの声が聞こえる」という新曲がいかに素晴らしいかを語り、もう少し時間があるから、と歌った曲が「愛し愛され生きているのさ」。

地鳴りのように盛り上がる観客。カラオケで照れながら言っていた、あのセリフも聞けるんだ~。

愛してるぜ、と言われてオザケン愛が高まったみんなが、また大合唱する。

「通り雨がコンクリートを染めてゆくのさ」

そして「家族や友人たちと 並木道を歩くように」という、あのセリフを何度も聞いたCDよりもゆっくりはっきりと言うオザケン。

「と~つぜん、ほんのちょっと誰かにあ~いたっくなるのさ」とみんなで大合唱。

なんだろう、合唱コンクールかな。

空を見上げて、狭いカラオケボックスの部屋で何度も歌ったことを思い出す。一緒にカラオケに行ってたやつら元気かな。

最後に新曲を歌った。「フクロウの声が聞こえる」。いつものオザケンと、新しいオザケンが、まるで混ぜる前のカフェオレみたいに入り混じったすてきな曲だった。

そして、静かに幕を閉じた。最後に何か言ったのか?笑顔で手を振っていたような気がする。僕も手を振っていた。赤ちゃんは楽しんだかな。後ろの大きな声で歌っている人をずっと見てたけど。

最高の時間だった。キングオブステージ。ライムスターの称号が頭に浮かぶ。

ふと1ミリも小山田さんのことを思わなかったことに気付く。

いやいや、もう純度100パーセントのオザケンでまだ足りないぐらいなのに、混ぜる必要はない。そんなのいらなかったんだ。

帰り道に、若い子たちが「スカパラと一十三十一がバックを務めるってことは、オザケンは偉大なんだね」と言ってた。

そんな感じかぁ~と思う。偉大だよ、スターだよ、一つの時代だよ。そして、唯一無二だ。

雨ばっかりのフジロック。帰りたいと言った嫁の気持ちは分かる。

でも、本当に見ないで帰ったら「末代まで後悔する」素晴らしいステージだった。フジロック2017、来て良かった。

 
[kanren postid=”1379″]

スポンサーリンク
更新したらツイッターでお知らせします。ぜひフォローお願いします。