きっと東京の選択肢の多さが人を不幸にしている気がする

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いま読んでいる『最高の人材を見いだす技術』という本が面白い。

 

トップアスリート量産地に学ぶ 最高の人材を見いだす技術
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次々と才能が飛び出す、人材の宝庫には何があるのか、神童と呼ばれた少年はなぜ消えるのか、など「才能」「努力」「環境」について語られる内容は色々と考えるところが多い。

 

この本については、改めて書こうと思うが、トップアスリートを生みだす環境の一つに「彼らには●●しかないんだ」という言葉があった。

 

それはケニアならマラソンであるし、ブラジルならサッカーだった。選択肢が無いから彼らはそれに打ち込むし、トップアスリートになったんだ、というその言葉を読んでいる時、「選択肢の矛盾」について考えざるを得なかった。

 

僕はずっと選択肢を多く持ちたいと思って生きてきた。こっちがダメならこっちとスルスルと生きているタイプだ。

 

それで良いと思っていたが、実はそれこそが不幸を生んでいるのかもしれない。

 

選択肢の矛盾とは?

これまで人は選択肢が多い方が良いとされてきた。

 

しかし、2000年にアメリカ人心理学者の、シーナ・S・アイアンガー博士とマーク・R・レッパー博士が行った実験は意外な結果を示した。

 

その実験とは、こんな内容だった。あるカリフォルニアの高級スーパーでジャムの試食を行った。毎日色々な種類のジャムを用意するが、ある日は6種類、ある日は24種類を準備した。

 

種類が多い方が人は多く集まるが、実際に購入するのは6種類の日だったという。

 

つまり、選択肢が少ない方が購入に結び付きやすかったのだ。

 

さらに、もう一つ言えるのは選択肢が増えると、1つのものを選んだときに、自分は損をしたのでは、と思うのだという。つまり、選択肢が増えると満足度よりも「あっちの方が良かったかも」という不安の方が増加してしまうのだ。

 

町にラーメン屋が2軒しか無ければ、好きな方を選んで満足して帰るが、100軒ある街にいけば、「もっと美味しいお店があったかも」と思うのに似ている。

 

これが「選択肢の矛盾」である。

 

次々と移住する友人たち

 

さいきんFacebookを見てると、東京からの移住者が熱心に投稿している。五島列島、大島、屋久島、福岡、しまなみ街道、そうした場所から幸せを発信する人々を見て、僕はこう思っていた。

 

「実際は色々と不満があるから、幸せを発信しているのかな」と。

 

私たちは移住してこんなに満足しています!出会いがありました、イベントをやりました!とか。

 

そういう穿った見方をしていた。でも、違うのかもしれない。本当に幸せだから発信しているのかもしれない。

 

そこで思うのが、東京の選択肢の多さだ。あれは異常だ。

 

一生かけても食べきれないほどのお店があり、まだ出会ってないステキな異性がいくらでもいる。ステキな雑貨屋、ステキなカフェ、行ってないお店が無数にある。

 

そんな街で果たして、これで満足だと感じることはできるのだろうか。

 

さっきの話でいえば「損失費用」の塊のような街だ。

 

ちなみに僕は2歳の時から東京で育ちも、その後もずっと東京で生きている。
東京の良さを知っているし、逆に地方のことはあまり知らない。

 

なぜイケダハヤトさんのタイトルが有効なのか?

 

高知に移住したイケダハヤトさんが「まだ東京で消耗してるの?」というブログタイトルで記事を書いている。

 

僕はああいう自己肯定、お金自慢系の人には近寄らないようにしているけど、あのタイトルを付けた、ネーミングセンスだけは見事だと思う。

 

派生タイトルが多く発生するほど、多くの人に刺さった言葉だと思う。つまり、みんな東京で「消耗」しているのだ。

 

かつて村上春樹は仮想敵に向かって疾走するけど、どこにも辿りつかない様を「回転木馬のデッドヒート」と言ったけど、東京の街は、それに似ているのかもしれない。僕らは幸せを求めながら、どこにもいけない。

 

選択肢の多さは人を不幸にする。

 

「島を征服したければ、ボートを燃やせ」

 

退路を断って前に進んだ方が良い時もある。

 

その前提にたって、人生設計をもう一度したいと思った。

 

こちらは名作短編集。蟹が好き。

回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫)
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