なんだか先日、「初心者におすすめのヒップホップ25選」という記事がいくつかあったんだけど、僕にとっては、どれもしっくりこなかった。
その理由は、ヒップホップを知らない人に媚びているからだと思う。聞きやすい曲、曲の名前は知ってるけど、ちゃんと聞いたことが無い曲、押さえておくべき曲を並べていることが原因だと思う。
それは初心者に失礼な話で、どんなリスナーだって「良い曲は一発で分かる」ものだ。つまり、名曲をしっかり伝えることが大事なのであって、「これなら聞きやすいですよ」なんてやる必要はない。
グッドミュージックを伝えれば必ず届く
昔、ブッタブランドのデブラージが「これはヒップホップか」の枠組みについて、「俺が愛しているのはグッドミュージック」と語っていたが、その通りで、要するにグッドミュージックを紹介すればいいんだと。
ということで、普段ヒップホップを聞かない人におすすめしたい名曲を25個選んでみた。
やってみたかっただけなので「あれが入っていない!」ってのはあると思うが、そこは個人の好みなので、ご容赦いただけるとありがたい。
1、真夏のJAM STERUSS(ステルス)
昭和53年組の社会人グループ。ずいぶん前のB-BOY Parkで見て、唯一気に入ったグループ。ライブも見ているが、熱くてかっこいい。
2、屍を越えて GAGLE(ガグル)
ガグルといえば、仙台。2005年に発表された曲だけど、東北の震災を経てさらにその言葉の重みは深まったと思う。ちょっと別格な曲だと思う。
3、Rock in My Pocket ECD
反原発のデモのニュースでECDを見かけたとき、この人はすごいなぁと素直に思った。ポッケに石ころ詰めて、権力と戦う。盟友のツボイさんが好き勝手にスクラッチしているのを見るのも楽しい。
4、冒険のススメ なのるなもない
「なのるなもない」の名曲。やたらと声がかっこいい。曲も良い。映像も良い。
5、知らざあ言って聞かせやSHOW TOKONA-X
26歳で亡くなったTOKONA-Xの代表曲。次世代のラッパーが増えれば増えるほど、こんなすごいラッパーいない、とその価値が高まっていく特別な存在。歌詞というより勢いがすごい。
6、ブッダの休日 Buddha Brand
https://www.youtube.com/watch?v=6nrLWE-TKfo
ダメなラッパーを「肉だ!」と攻撃していたブッタブランドが、ちょっと鉾を納めて一休みして作った曲。日曜日に朝におすすめ。
7、合法的トビ方ノススメ Creepy Nuts
フリースタイルダンジョンでおなじみのR-指定とDJ松永さんが作った曲。ヒップホップってけっこう一本調子で途中で飽きちゃうんだけど、これは何度でも聞ける。つまり、ラップのテクニック的に飽きがこないように変えている、ということでそこがすごい。
8、Master Mind DJ HASEBE feat.ZEEBRA&MUMMY D
https://www.youtube.com/watch?v=-C1vy5jiPB0
一時期まで、ジブさんとマミーDというのは間違えなく、ヒップホップ界の一押し2トップだったと思う。顔も良くてラップも上手い。そこにDJ HASEBEさんが絡めば、それは必然的に名曲が生まれる。
9,Fukurou (Yakanhikou) YOU THE ROCK★
この曲はいつ聞いても、かっこいい。イントロからしびれて、スムーズに入るラップが心地よい。ユウザロックはレコーディングの時に良いところを集めるのではなく、必ず1発で全部を採るため、何度もやり直すらしいが、このラップを採れた時は奇跡のような時間だったのだろう。
10,愛だらけ DJ CELORY a.k.a. Mr.BEATS feat.MUMMY-D HABISCREAM Keyco
DJ CELORYの作ったトラックの中でも一番だと思う。時代を超えて愛される曲。MUMMY-Dのラップも抜群に良い。
11,手漕ぎボート 小林大悟
渋谷のフライングブックスでかかっていて、店員さんに聞いて知った曲。ポエトリーリーディングともいえる曲の内容もトラックもすばらしい。
12,SOUL BROTHER KAMINARI-KAZOKU. Feat. DEN, SICK KING
ユウザロック、twigy、リノ、GKマーヤンのいる伝説のグループ「雷」の曲。グルーブ感とラップのマイクリレーが絡み合って、テンションが上がる一曲。
13,No question Mellow Yellow
https://www.youtube.com/watch?v=eq1b68R8xNE
Mellow Yellowはちょっと不思議な立ち位置のグループ。マミーDの弟KOHEI JAPANのいるグループなので、その一派の中にいるんだけど、曲のイメージはもう少し軽い。初期のライムスターみたいな感じ。その中でも特別な一曲。
14,Nujabes ft. Shing02
2010年に36歳で交通事故によって亡くなったヌジャベス。コムデギャルソンのパリのファッションショーの音楽ディレクターを務めるなど、オシャレ側の人。Shing02とやったこの曲は、芸術品のような珠玉の一曲。
15,T.U.B.E. 鎮座DOPENESS
ヒップホップ界の天才を挙げるとすれば、NippsとTwigyと鎮座DOPENESSだと思う。いずれも文脈を無視してむっくりと存在している感じ。なんでこんな子が出てきたんだろう、というぐらい肩の力を抜いてラップする。
16.SPACE RADIO SHUREN THE FIRE
シュレンはかなりセンスが良いラッパーだと思う。ブルーハーブの周りに居る人だと思うけど、バックボーンは詳しくはしらない。ただ、この曲が名曲だってことはわかる。
17.Candle Chant BOSS THE MC
DJクラッシュとブルーハーブのボスが亡くなった共通の友人ラッパーのために作った曲。まさに隠れた名曲だと思う。
18,New York New York TOKONA-X
トコナの曲の中でも少し特別な、自伝的な曲。アメリカのレコード会社と契約して、大きくなる気持ちとは裏腹に自らの半生について赤裸々に語っている。
19,Dancing Mushroom TOKYO No.1 SOUL SET
ソウルセットの中でも特別あがる曲だと思う。イントロだけでお腹いっぱい。そこに乗っかるビッケのラップ。最初の方だけで満腹になる一曲。
20,夜行列車 TWIGY feat BOY-KEN
TWIGYはどの時代を切り取っても最先端だし、オリジナルなことをやっているが、やっぱりこの曲の浮遊感、これから明るい未来が待っている感じは特別だと思う。
21, Im Still No.1 Zeebra
ジブさんは名曲が多いんだけど、初期の代表曲がこちら。まだダミ声もそんなに強くなくて、聞きやすくてかっこいい一曲。
22,Hereee we go 韻シスト
バンドとラップを組み合わせた大阪で結成されたグループ。ちょっとのんびりしたい時におすすめ。ドライブの一発目とかにぴったりだと思う。
23 夕陽のタンガンマン RINO
RINOはずっとフォローしているラッパーだが、家業の焼き鳥屋があるためか、マイペースにやりたい時に活動している感じがすごく良い。そしてこの映像は「さんぴんCAMP」の時のもの。ラップは一本調子なんだけど、耳に残る。次第にクセになる。結果、ファンになる一曲。
24 タイムトライアル 般若
53年組の般若。長渕が好きなことが良く分かる一曲。「昔の話が多くなったときにピースサインより立てる中指」のパンチラインがかっこいい。シンプルなトラックに般若の世の中への立ち位置を示すような潔いラップが乗って次第にグルーブを増す感じにしびれる。
25 フラッシュ 崇勲
フリースタイルダンジョンで「ディスが利かない男」として旋風を巻き起こした崇勲の一曲。トラックがかっこよく、ラップも見事な仕上がりになっている。歴史に残る名曲だと思う。
けっこう幅広く「どれかは好きなのあるだろう」曲をチョイスしてみた。お気に入りの一曲が見つかって、これをきっかけに日本語ラップにはまっていただければ、これに勝る喜びはない。
ちなみにpunpeeの名曲を載せ始めると、全部彼で埋まってしまうので、ちょっと別枠にした。