TAG

  • 2019-04-18

きみは悪魔の書「ホモ・デウス」を読んだか?

「ホモ・デウス」という本をご存知だろうか。 2017年にベストセラーになった「サピエンス全史」の人が書いた、人類の未来についての本である。 タイトルの通り、人間(ホモ・サピエンス)はこの先、神(ホモ・デウス)になる、という、未来について書かれた本だ。 人類はもはや、疫病も、戦争も克服し、ようやく一息 […]

  • 2019-04-09

子どもに残したいマンガはありますか?

現在、私は沼にいる。電子書籍沼だ。 きっかけは村上春樹だった。 彼の初期作品がいつの間にかkindleで発売されていたのだ。 何気なく見ていたらちょうど半額ポイントキャッシュバックだった。 ポイポイと ・風の歌を聴け ・1973年のピンボール ・羊をめぐる冒険 ・カンガルー日和 を買ってしまった。 […]

  • 2019-04-01

伝説の4コマ漫画「ネ暗トピア」を語る

ネ暗トピアといえば、いつもある光景を思い出す。 それは中野という町に「サイド」というバーがあり、「クラシック」という喫茶店があった頃の話だ。今から20年ぐらい前、たまたまバイト先で仲良くなった人に僕はすっかり魅了された。 まだ21歳だった僕にとって、3つ上のその男は大人の色気のようなものを漂わせ、話 […]

  • 2019-03-06

「羊をめぐる冒険」の先生と児玉誉士夫

戦後最大のフィクサー児玉誉士夫を語る時に「村上春樹の『羊をめぐる冒険』の先生みたいな人」という例えがある。 だが、フィクサーマニアである僕は児玉誉士夫関連の本を読みまくって、色々と調べたりしているだが、その視点で読み返すと「いや、もうそのままじゃん、よく書いたな」と震えてしまった。 なぜ震えたのか。 […]

  • 2019-02-27

読み返すと分かる『風の歌を聞け』『1973のピンボール』の真実

Kindleで『風の歌を聞け』『1973のピンボール』がセールになっていたので、購入した。 中学生の時に読んだきりだったが、いま改めて読み返すと、初期作品のみが持つ瑞々しさと同時に、後にメタファーの名手となる村上春樹のクオリティからすると、けっこう粗が見える仕上がりになっている。 ちなみにメタファー […]

  • 2018-11-10

騎士団長殺しの性描写と宮崎駿の描くパンチラ問題

騎士団長殺しを読み終わった。 発売直後は冷静な評価ができないだろう、と時をあけて読んだけど、 ・嫁に捨てられる ・穴に入る、穴から抜ける ・騎士団長(イデア)がペラペラしゃべり物語を前に進める ・洞窟のようなところを通り抜ける など「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」と「ねじまき鳥クロニク […]

  • 2018-01-14

ぼくがおすすめするマンガ25選

2017年は、漫画の年だった。学生時代のように時間があるわけでもないため、これまで話題になっても時間の都合でスルーしていた作品を手に取り、しっかり読んでみた。 久々に読むと名作が目白押しで驚く。何てこった! こりゃ時間がない何て言ってられない。読まなきゃ、と言うことで100作品ほど読んだ。 その中か […]

  • 2017-04-19

なぜ『劇場』は『火花』より難しい小説になったのか?

『火花』で芥川賞を受賞した、又吉直樹の新作『劇場』を読んだ。 面白かった。歴史に残る傑作だと思った。 でも、ツイッターを見ると「難しい」という声が多かった。 又吉はNHKで『劇場』を作る過程をドキュメンタリーで紹介している。 その中で「『火花』を読んだ人から分かりづらい、難しいと言われた。だから、今 […]

  • 2017-03-24

「家族最後の日」(植本一子著)は家族の破壊と再生を描いている

植本一子さんの『家族最後の日』を読んで、マジかと思ったのは、夫のラッパーECDのガンが発覚した後に、ECDも一子さんも「ネタになる」と話し合うシーンだった。   二人とも文筆業もやっている。だからと言って、そういう思考になるのか。ECDが大好きな僕としては、いや奥さんが「ネタって言い方は、 […]

  • 2017-03-23

「笑いのカイブツ」を読んで涙が止まらなかった話

  伝説のハガキ職人ツチヤタカユキのことは、オードリーのラジオの書き起こしを読んで知っていた。   天才とも言われているけど、人間関係が不得手で東京に馴染めずに大坂に帰ったすごい人という認識だった。   存在は気になっていた。こういう人が消えるわけがない、どこかで浮上してくる。どう出てくるのだろう? […]

  • 2016-12-01

吉田篤弘を全部読んだ僕がおすすめする名作小説ベスト10

ストーリー展開の上手さと、ずっと物語の世界に浸りたくなるような、世界の立ち上げ方が魅力的な小説家・吉田 篤弘さん。 ゆっくりと飲むコーヒー、古本屋、町の洋食屋、ラジオから聞こえる女性の静かな声、お客が少ない映画館、自転車。これらは吉田作品によく登場するモチーフだ。 そんなモチーフの数々に思わず、反応 […]

  • 2016-11-08

レコ大審査員が語る芸能史の裏側がそそる~「相倉久人にきく昭和歌謡史」

  「ノリコは、、、だから」と松田聖子が本番中に本名を言ってしまい、舌を出した。もう何年も芸能界にいるのに、本名なんて間違えるはずがない。   それに対して本書の中で相倉さんは「だから絶対に計算してるんですよ」と話したうえで、以下のように松田聖子というアイドルの本質を語った。 「 […]

  • 2016-11-08

そこにあるのは本好きの桃源郷だった~『昔日の客』

気が付くと、電車の中で本を読んでいる人を見かけなくなった。本好きとしてはさびしい限りだ。   減ってるな、とは思っていたが、今は逆に読んでいる人を見ると「お、本読んでる」と驚くほど、珍しい存在になってしまった。   もともと文章があって、それを人に読ませる時に便利だってことで紙が […]

  • 2016-11-07

『断片的なものの社会学』~「こんなはずじゃなかった」日常を生き続ける

  また名著に出合ってしまった。『断片的なものの社会学』だ。   2016年は「かなわない」、「相倉久人に聞く昭和歌謡史」も凄かったが、それに続いて、当たりの本だった。素晴らしい。   じゃあ、何が素晴らしいんだろう。これが上手く説明できない。それはタイトルの通り、この […]

  • 2016-10-19

童貞だから賢治の名作は生まれたのか?~「童貞としての宮沢賢治」

宮沢賢治の評伝を読んでいたら「生涯童貞だった」という一文が目についた。 ちょうどその前に『ルポ中年童貞』を読んで、童貞をこじらす危険性に震えていた後だったので、なんだか気になって調べてみたら『童貞としての宮沢賢治』という本が見つかった。 大学教授の押野武志さんという方が、童貞と創作について、かなりマ […]

  • 2016-09-05

2016年にもっとも衝撃を受けた本『かなわない』(植本一子)が凄すぎたので感想を書いてみる

  2015年にもっとも衝撃を受けた作品は『火花』であり、2016年は『かなわない』だった。火花に匹敵する作品だと思う。土俵が違うかもしれないけど、それぐらいすごい本だった。   たぶん、僕にはこの本の魅力を全部伝えるだけの文章力は無いと思う。とにかくオススメです、としか言いよう […]

  • 2016-07-08

「才能がない」の才能ってなんだ? 『トップアスリートの量産地に学ぶ 最高の人材を見出す技術』

  「才能」という言葉は、特別な響きをもつ。   才能がある、才能がない。その言葉によって、どれだけの人の人生が狂わされたか。   「センスが無い」という言葉をコーチに言われてバスケを辞めた僕にとって「才能」というものは、ずっと謎の存在であり、欲しくても手に入らないもの […]

  • 2016-05-13

村上春樹の名作短編を文鳥文庫で楽しむ

  表参道の駅から地上に出たところの交差点に「山陽堂」という本屋がある。表参道で120年続く老舗の本屋さんで、こんな本を見つけた。   この長くても16Pしかない「文鳥文庫」という存在は、先日「本フェス」で見かけたんだけど、そこにあったのは太宰の「メリイクリスマス」とか川端の作品 […]

  • 2016-05-08

江戸時代のGDPはアジアトップクラスだった~エドノミクス

さいきん地政学や経済などの視点で、日本の歴史を読みなおすという本が多く出版されている その中でも読みやすくて、発見が多かったのが「エドノミクス」だ。 江戸の大工の収入は大企業のサラリーマンレベルだった この本を読んで発見がいくつかあったのだが、その中でも面白かったのが、江戸の大工の給料の話。 本書に […]

  • 2016-05-06

年収3600万円なら明治政府に入りたい!~武士の会計簿

  この本の始まりは、作者が探していた資料を神田の古書店で購入する場面から始まる。   ずっと探していたその資料とは、猪山家という加賀藩の会計を担当していた一族の江戸時代から幕末維新を経て、明治まで続く家計簿だった。   それを丹念に見ていると一族の歴史がよくわかる。   高給取りでありながら、金遣 […]

  • 2016-04-07

欲しいものが無ければ自分で作ればいいんだ~「ヒップな生活革命」佐久間裕美子

なんだか最近コーヒーブームのほかに、クラフトビールやDIY、さらには「タイニーハウス」と呼ばれる小屋を作ったりと、明らかに何か新しい潮流が出てきている。 手作りブームかなと思うけど、そんな単純な話ではなさそうだ。 これを偶然と考えるかどうかは『ヒップな生活革命』を読んでいるのかで決まると思う。 それ […]

  • 2016-03-23

天才の嫉妬を垣間見る~「手塚治虫―ロマン大宇宙」大下英治

浦沢直樹がEテレでやっている「漫勉」という番組がある。   さいとうたかお、東村アキコ、浅野いにおなど現役の漫画家が実際に漫画を描いているところをカメラで撮影して解説する、という番組だ。   その番組の中で、漫画家になったきっかけや誰に影響を受けたのかを浦沢さんと漫画家が話し合うところが必ずあり、そ […]

  • 2016-03-17

不器用でもできるDIY それが発酵だ

DIYといえば、みなさん、どんなイメージをもつだろう。ほとんどの人は木をトントンやる、というイメージだと思うが、実際は「Do It Yourself(自分でやってみる)」という意味であり、木だけじゃなくて、なんでも指すらしい。日本でも最近ブームになっている。 でも、僕はそのブームに乗れずにいた。だっ […]

  • 2016-03-14

実は和食の滅びの様子が描かれている~英国一家日本を食べる

外国人が日本に来て美味しいものを食べる旅行記。 そんなありふれたテーマなのに、この本はシリーズも含めて累計15万部と売れに売れて、NHKでアニメ化もされた。 この本のヒットの要因は、よくある日本絶賛本にとどまっておらず、日本人も気付いていなかった和食の滅びの姿を描いたからかもしれない。 フードライタ […]

  • 2016-03-10

村上春樹の語る良い文章の条件~翻訳夜話

まだ20代始めの頃、書くことを仕事にしたいと考えていた。実際にはそこは諦めて似たような別の仕事に回ったのだが、その頃、よく考えていたのが「文体」についてだった。 例えば、↓今日は雨が降っている。雨が止んだら温かくなった。雨だ。急に止んだ。そして温かくなった。   上記の2つの文章は同じことを表してい […]